この記事はリッこら(http://reallcolumn.ko-me.com)の過去投稿をサイト移転のため、リバイバル掲載したものです。
内容は掲載当時のものであるため若干の違和感があるかもしれません。
ご了承ください。

皆様こんにちは。リッこらへようこそ!
 今回執筆を担当しますのは文化構想学部1年、編集班の木村です。丁度このコラムを書いている頃は絶賛試験期間中ですがこういう時こそテンション上げていきますよ。うえーい!

 Re:ALL製作委員会が思い思いに語る本コラムですが、いくつか目を通していただいた方ならわかるとおり、その思いのたけは千差万別です。抽象的な話題から具体的な話題、自らの趣味・嗜好についてなどなど、製作委員の一員である私も正直なところ、これほどまでにトークテーマが分散するとは考えていませんでした。多種多様の強い個性が寄り集まってRe:ALL誌面完成のために力を尽くしていることを考えると胸が熱くなります。

 さて、突然ですが皆様は好きな「色」というのはありますか? これもまた個性の問題になりますから答えは幾通りも存在するでしょう。仮にこの色が一番好きというものがなかったとしても、たとえば赤色よりは青色の方が好きとか、今日は暖かいから明るめの色の服を着ようとか、この色はこの色合いのコーディネートに合わないとか、色の取捨選択は、経験があるはずです。子どもの頃にまで立ち返ってみればヒーロー戦隊であれプリキュアであれポケモンのバージョンであれレッドがいいグリーンがいい、ブラックがいいホワイトがいいとあれこれ言い合った思い出が誰にでもあります。色を介することで子どもは「選ぶ」ことを学ぶんですね。

 では、さらに問いを重ねます。皆様はどうしてその「色」が好きなのですか? ……今度の質問はかなり答えづらいはずです。何かしらの根拠を挙げようとしても、根拠といえるほど強い理由になるでしょうか。少し文章を引用してみましょう。

 「私たちはまた、身につける色で自分が何を必要としているかを表現する。たとえば、赤を着ている人は新しい愛を求めているか、体の耐久力の回復をはかっている。色を身につける前に、何を欲しているか自分に聞いてみてもよい。本当のところ何を望んでその色を着るのか?なぜ特定の色をひんぱんに着るのか?ある色への熱望は、言葉では表せないメッセージを伝える。たとえば、時間やエネルギーいっぱいで奮闘しすぎると、グレーを着たくなる。どんな心理状態で、またどのような願望があるかで、着用する服などの色がきまってくるのだ」(野村順一『色の秘密 最新色彩学入門』文春文庫、2005年)

 なるほど、今自分が灰色っぽい服を着ているのにも理由があるってわけですか!
 自分の性格・嗜好がそれこそ言葉に言い表せられないぐらい露骨に表れてしまうというのは面白いですね。すなわち、意識しようとしていまいと自分のなかの深層心理が表面化しているわけです。好きな色を確固たる根拠を持って説明できる人がどうして少ないのかがわかる気がしますよね。逆に特定の色が好きだという理由を話せる人は自分の深層心理を正しく理解したうえで、押し隠すまでもなく開示できる人だと。

 先の『色の秘密』の野村さんは、他にも興味深い本を執筆していらっしゃいます。この場を借りて紹介しましょう。『私の好きな色500』(文春文庫、2007年)という題の書です。ページをめくればそこに広がるは一面の色、色、色。200ページ弱の本文には思いつく限りの色とその解説文が記されています。解説文にはその色と調和しやすい色や、その色を好む人の傾向が事細かに書かれており、まるで心の奥底までを見透かされているようで目からうろこが落ちます。たとえば薄緑に似た「五月雨」色はパステルトーンカラーと相性がよく、これを好んで着る人は自己啓発に優れ、新しい世代に憧れる気質だそうです。
そして何よりこの本の醍醐味は、記されている色の名前の独創性! 「萌黄おどし」、「草千里」、「紅殻格子」、「すなけむり」は序の口、「鯉のぼりの泳ぐ空」、「紅葉の交響曲」、「小鹿の散歩」、「ミックスジュース」なんてものから「卵料理とパプリカ」、「お昼寝するチャウチャウ犬」、「レディーマクベスの夜」、「潮騒」と、想像を絶するような名前の数々。少なくとも私の周りには「卵料理とパプリカ」色が好きな友達は存在しません。「卵料理とパプリカ」色……赤と桃の中間色のようなこの色を、より身近な珊瑚色と呼ぶことはあるでしょう。ただ、やはり「卵料理とパプリカ」色と珊瑚色は違います。名付けられ、区別され、選択する余地が生まれれば完全に別の存在だからです。人の気持ちがみんな似ているから同じ表現でいいやなんて、それでは言葉が存在している意味がありませんからね。色も、それを表現する言葉も無限大です。

 総括すると、色の数だけ個性があるのではなく、個性の数だけ色があるということになります。だから、人は成長して好きな色彩が変わったり、その日の気分で色の好みが変わったりするのだと思います。機があれば自分の好きな色を好きな風に表現してみるのも面白いはずです。自らの好みを解釈し、選り分けて、少しずつ向き合ってみましょう。そうすれば身の回りのちょっとした彩りが増えていくこと請け合いですよ!

(木村 諒士)