この記事はリッこら(http://reallcolumn.ko-me.com)の過去投稿をサイト移転のため、リバイバル掲載したものです。
内容は掲載当時(2013年)のものであるため若干の違和感があるかもしれません。
ご了承ください。

こんにちは!
Re:ALL制作委員・編集局所属、1年の平山 貴之です!

今回、コラムを書かせていただくことになったんですが、「テーマ自由、字数無制限で、なんか書いてヨ」と編集長さんに言われても、僕みたいに普段からくだらんことしか考えてない人間は、そんなこと言われても困ってしまうわけです。

やっぱり、人様に語るに足る意見や思想を持っておくことは、重要ですね。
僕なんかは、普段「『ピンからキリまで』って言うけど、どっちが上でどっちが下なんだろう?」とか考えたり。(この疑問をツイッターでつぶやいたところ、フォロワーさんに「泉ピン子と磯野貴理子」という回答をいただきました。んなアホな)
「国内のアイドルに足りないものを、JKT48(48グループのインドネシア支部)のメンバーに見出そう」とJKTの公式サイトを覗いたりしてるだけなので、こういうときに語るべき話が思い当たりません。
(チームJのナビラ・ラトナ・アユ・アザリアちゃんは日本人が見てもガチで可愛い)

そんなこんなで、締め切りギリギリまで書くテーマに悩んだ挙句、「自分の好きなものの話をしよう」という、原点回帰的な結論に至りました。回帰です。おかえり、僕の脳ミソ。
やっぱり、特別な考えのない一般人に、誰かに伝えるに足る感情があるとすれば、それは“愛”でしょう。

ということで、今日は皆さんの貴重な時間をお借りして、僕の好きなものの話に付き合っていただこうと思います。お暇なら、最後までよろしくお願いします。

では、単刀直入に申します。
アイドルが好きです。
……そんなに構えなくても大丈夫ですよ。振り上げた拳も下ろしてください。
“ヲタ”というほどではありません。“ファン”ですので。

もともと関西に住んでいたこともあり、専門はNMB48です。なんだ専門って。
ですから当然、姉妹グループのAKB48にも、ほんの少し詳しいのですが、今日はそんな大衆ウケしそうなテーマは扱いません。
時流に乗った話をするのもあまり好きではないので、先日のいわゆる“総選挙”の話も致しません。
(ちなみに、JKT48のナビラ・ラトナ・アユ・アザリアちゃんは今回の選挙には立候補すらしていませんでした)

今日、僕がお伝えしたいのは、そんな表舞台に出られなかった、言わば日陰にしか咲けなかった、1人のNMB48のメンバーのお話。
感涙必至、ハンカチ必須です。頭痛薬があるとなお良しです。
……では始めましょう。

遡ること2年、第三回AKB48選抜総選挙でのこと。
……いやAKBの話すんのかい!総選挙の話すんのかい!とツッコんだあなた、鋭い。ただ、前フリとして必要な情報なので、もう少しお付き合いくださいネ。

このとき7位に輝いた、後の48グループ総監督・高橋みなみさんは、第二回より1つ順位を落としたものの、「ラッキーセブン!」と陽気にトロフィーを掲げました。その後のスピーチでの彼女の一言は、あまりにも有名です。

「努力は必ず報われる」

どこかで聞いたような、古臭い匂いさえする言葉ですが、彼女が言ったからこそ、誰が言うより重い意味を持ちました。
「身長が148cm、誕生日が4月8日で、プロフィールに“48”が多いから」という理由でAKB48の書類審査に合格し、その後一期生としてデビュー。発足当初から中心メンバーとしてグループを引っ張ってきた彼女。アイドルとしての活動にひた向きな姿から、プロデューサーの秋元康氏をして「AKB48とは、高橋みなみの努力である」と言わしめたほどの努力家として知られています。

なんかの漫画のセリフによると、「人の足を進めるのは、希望ではなく意思。人の足を止めるのは、絶望ではなく諦観」だそうです。
誰よりも努力を重ねた高橋みなみ先輩の「努力は必ず報われる」という言葉ほど、人に努力する意思を与える言葉があるでしょうか。
「いつやるの?今でしょ」も真っ青です。林先生、最近テレビ露出多すぎです。

しかし、2012年4月、「努力は必ず報われる」の言葉のもと、一枚岩に固まっているように見えた48グループの結束に、ほころびが見えました。
姉妹グループであるNMB48の研究生・原みづきちゃんの一言が、そのほころびの原因です。
……さぁ、ここで本日の主役・原みづきちゃん登場、と同時に、僕の専門分野に突入です。

まず、彼女の名前の表記には気を付けなければなりません。原み“づ”きです。Mi“du”ki。“つ”に濁点です。
NMBには、他に鵜野み“ず”きちゃんというメンバーがいるため、ファンはそこに敏感にならなければなりません。

この原み“づ”きちゃん、応募者数7,256人・合格者数26人のオーディションを勝ち抜き、一期生として見事NMB48に加入したものの、その後の活躍があまり目立たないメンバーでした。
正規チームのメンバーに選ばれず、加入時からずっと、研究生としての活動が続きました。
(48プロジェクトのグループには、たとえばAKB48ならチームA、K、Bというように、各グループに3つずつチームがあります。1チームは16人からなり、3チーム合わせて”48″人になるわけです。そして、チームメンバー48人に選ばれなかったメンバーが”研究生”となります。)
シングル選抜、カップリング選抜に選ばれた経験もなく、自分より後輩の二期生に追い抜かれ、自分の努力の成果を実感する機会が、あまりに少なかった環境。

そんな原ちゃんが、卒業を発表したのが2012年4月。
このとき、Google+の個人ページに掲載した、彼女のコメントが話題を呼びました。後に言う、「みづきはそうは思ってません事件」です。

「努力は必ず報われるって憧れている高橋さんが言ってたけど、
みづきはそうは思ってません」

全文、そのまま引用です。
……マジかお前。

原ちゃんが卒業してしまったいま、彼女の真意を知ることはできませんが、日の目を見ない期間をあまりに長く過ごした彼女にとって、この言葉は偽らざる本音であったろうと思います。
そんなに原ちゃんを責めないであげてください。トマト投げないでください。ナイフをしまってください。

とは言え、この発言はメンバー、運営スタッフなど各方面を騒然とさせ、あらゆる反応がありました。
NMB48のエースでありキャプテン、山本彩(さやか)ねぇさんは、Google+上で原ちゃんに個人的にメッセージを送りました。
(「山本彩」を「やまもとあや」と読んでしまうのは、関西では絶対のタブー。場所が場所なら、命すら危ういです)
他にも、直接的に、間接的に、48グループのあらゆるメンバーが、原ちゃんにメッセージを送りました。

そして最後には、プロデューサーの秋元康氏が、彼女に向けたコメントをGoogle+に掲載しました。AKB48プロジェクトのプロデューサーが、姉妹グループの、それも一研究生にメッセージを送る。異例の事態です。

「人生はマラソンだ。短距離走ではない。大切なのは、最終的にどこまで走ることができたのか。NMB48という舞台で報われなかった君の努力も、いつか報われるときがくるはずです」

かの名曲『川の流れのように』を思わせる激励の言葉。
しかし、メッセージの結びが
「原み“ず”き、頑張れ」になっているという、美しいオチが付いていました。
……頼んますよ先生!

そして、原ちゃんの卒業から2ヶ月後の、2012年6月。
第四回AKB48選抜総選挙において、原ちゃんが「憧れてい」た高橋みなみさんは、第三回より1つ順位を上げ、6位を獲得しました。
その後のスピーチでの彼女の言葉は、第三回と似た内容であったものの、厳しい現実を見据えた上で夢を諦めない、そんな更なる強さを感じさせるものでした。

「ある子は“努力は報われない”と言いました。運も必要かもしれない。でも、努力しなければ始まりません。私にとって、努力は無限大の可能性です」

総選挙の順位発表を観ていた人のうち、どれくらいの人がここに語られた“ある子”、原みづきちゃんのことを知っていたかは分かりません。しかし、原ちゃんの卒業、そして「みづきはそうは思ってません」の一言がなければ、このスピーチが生まれていなかったことは間違いありません。
原ちゃんも、このスピーチをどこかで聞いていたのでしょうか。聞いていたとすれば、その時どんな気持ちだったでしょう。憧れていた先輩の言葉を、今度はどのように聞いたでしょうか。

さて、そういえばこのコラムのタイトルを「アイドルに学ぶ努力論」にしていたので、この辺で秋元康先生の言葉をお借りしながら、僕なりの努力についての見解をまとめておきましょう。

「人生はマラソン。でも、それは短距離、中距離、長距離、いろんな長さのレースの連続になっていて、時には短距離走用のギアに切り替えて駆け抜けなければならないときもある。
今のレースで報われなかったように思える努力も、きっと次のレースで活かすことができる。
みづきはそう思います」

……完璧です。これが、僕の辿り着いた結論です。

僕は「努力について」という、人生においてとても重要なことをアイドルに教わりましたし、「世界で1番努力している職業はアイドル」と、けっこう本気で思っています。
それが、僕がアイドルを好きである理由の一つです。
今日は、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

追記:現在、NMB48を卒業した原みづきちゃんは、一般の個人としてツイッターを始めているそうですが、僕はフォローしていません。
卒業後のメンバーを深追いしないのが、正しいアイドルファンの姿だと思うので。
彼女の幸せを、ただ祈るばかりです。